こがてい
【日本遺産045】
長谷扇ヶ谷の一つの谷戸全体を敷地として建つ
稀に見る大規模な別荘で
鎌倉文学館、旧華頂宮邸と並ぶ
鎌倉三大洋館の一つに数えられます。
1916(大正5)年に、
三菱合資会社の専務理事だった
荘清次郎の別荘として
約15 年を費やして建てられました。
設計は、後に旧三菱銀行本店などを手がけた
建築家・桜井小太郎が行いました。
内外とも山小屋風でシンプルなデザインですが
最大の特徴は外壁のシングル(※1)張りです。
1880〜90年のアメリカで盛んだった様式です。
桜井小太郎は1901(明治34)年に
アメリカに出張しているので
このスタイルの建物を
実際に見ていたのかもしれません。
1923(大正12)年の関東大震災では
鎌倉市内の建物の大方が倒壊するなか
この建物は残り
震災直後の対策会議はここで開かれました。
昭和初期には
元首相の濱口雄幸や近衛文麿が
別荘として借用していたこともあります。
その後、1937(昭和12)年に
日本土地建物株式会社の経営者であった
古我貞周が取得し
「古我邸」として今日に至ります。
戦後はGHQに接収され、
将校クラブとして使われた時期もありましたが
現在はフレンチレストランとして
活用されています。
※1 杮板(屋根を葺くのに用いる薄板)