かまくらめいしょき
【日本遺産053】
江戸時代中期、江の島の景色や
鎌倉の史跡巡りを楽しむ江戸の町人が増えてくると
名所巡りのための携帯用ガイドブックが
盛んに刊行・販売されました。
『鎌倉名所記』はその代表的なもので
江の島や鎌倉、金沢八景などの名所案内と
古跡の由来が記された木版刷りの冊子です。
また、その地図版といえるガイドマップ
『鎌倉絵図』も数多く刷られました。
これらは、徳川光圀の命で編纂された
鎌倉地誌『新編鎌倉志』をもとに
元禄年間(1688〜1704)頃から
つくられはじめたと考えられ
江戸時代を通じてほぼ同じ形態で
鶴岡八幡宮を中心としてその東西南北に分けて
名所・社寺等を列記したものです。
当時一般的だった旅のルートは
江の島詣での後、七里ヶ浜を通って鎌倉へ入り
お寺と鶴岡八幡宮を参詣した後
朝夷奈切通を抜けて金沢に向かうというもの。
江戸時代に人気を集めたこのルートには
茶屋も多くあり
初ガツオや鎌倉エビ(伊勢エビ)などの名産品は
江戸から訪れた観光客にも大評判でした。
極楽寺坂下で300年続く和菓子店「力餅家」の力餅は
鎌倉土産の走りです。